店舗数を増やすよりも
地域に根差して患者さまと関わりたい。
ふたば薬局代表取締役向井 秀人さん
神奈川県横浜市の西部、内陸に位置する旭区。ベッドタウンとして発展してきたこのエリアに、「ふたば薬局」は3店舗を構えています。1988年の開業以来、30年以上にわたり地域に根ざした薬局経営を実践してきた向井秀人さん。開業当時の苦労話から患者さまとのエピソードまで、自身のこれまでの歩みを振り返ってくれました。自らも薬剤師として患者さまに向き合い続けてきた、その想いに迫ります。
店舗データ
ふたば薬局
神奈川県横浜市旭区
3店(ふたば薬局本店・ふたば薬局ライフ店・みつば薬局)
1988年3月
29名(薬剤師18名・管理栄養士1名・登録販売者2名・医療事務8名)※2020年6月現在
横浜市で調剤薬局を開業した経緯を教えてください。
店舗の立地状況や患者数について教えてください。
開業してからご苦労されたことは?
そんな中で少しずつOTCが売れるようになり、その患者さまが、我々夫婦が苦労しているのを見て、医療機関の先生たちに「薬を院外に出したら?」ということを言ってくれたんです。それからようやく処方箋が来るようになりました。このように、地域の方々に助けられて続けてこられたのですから、そのご恩は今も忘れることはありません。
また、32年間の中では、さまざまなトラブルもありました。完璧に対策はしていても、人間なので漏れは出てしまう。トラブルがあったときに、誠実に対応し、いかに患者さまとの関係を切らないようにすることが大事ですね。それが成功すると、患者さまとの信頼関係は続くと考えています。
薬局を経営するうえで、大切にしていることがあればお聞かせください。
1年半ほど前から、管理栄養士も勤務しています。イベントで食に関する講演を行ったり、日常業務でも患者さまの栄養相談に応じたり。正直なところ、管理栄養士にここまで活躍してもらえるとは思っていませんでした。一般的には管理栄養士のいる薬局はまだそれほど多くはないと思いますし、一緒に働く薬剤師や事務スタッフがうまく活きる環境を作っていく必要はあります。薬剤師でも食生活に踏みこむことはできますが、管理栄養士の知識は薬剤師のはるか上をいっています。今では、患者さまから栄養相談の指名がかかることもしばしばです。
また、介護保険制度ができる前から在宅患者さまへの訪問も行っています。今、うちの薬局では、施設で100人程と、個人宅は10軒くらいですが、正直なところ、とても大変なので手いっぱいです。独居のかたが多いので、倒れられた場合には、私たちが救急車と一緒に病院に行くような状況になることもありますし、老々介護の場合、薬ももちろんですが物理的、精神的な助けを必要としていることも多いです。そうした対応も含めて薬局の仕事であり、それが私の生きがいであるかもしれない、と思っています。
地域に根差す薬局としての思いをお聞かせください。
一時は川崎市などに店を増やしたこともあります。自分が経営だけに注力すれば10店舗も20店舗もやれたとは思うんですが、やっぱり自分で患者さまに相対したいという気持ちがあったので、店舗を増やすことはやめて、離れた場所にある店舗は独立したいという方にお譲りしました。患者さまと関わることがやっぱり生きがいなんです。今は会社を大きくしていくよりも、地域に根差して人を大切にしていくことに注力をしています。
薬局経営をサポートする「医薬品ネットワーク」に加盟された経緯をお聞かせください。
※2020年3月取材当時
「医薬品ネットワーク」に加盟して、一番大きく変わったことは何でしょうか?
向井さんと同じように、全国でがんばっている薬局経営者、薬剤師のかたにメッセージをお願いします。
ふたば薬局は、最初は処方箋が来なくて苦しみましたが、その経験から、人の温かさ、患者さまの大切さを学びました。処方箋が来ることにあぐらをかかず、一人ひとりの患者さまに対して思いやりを持って接することが大切です。全ての薬局で、堂々と胸を張れる仕事をやっていければ、未来はあると思っています。
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