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コロナ禍1年、薬局大手はおおむね利益確保
薬受け渡しにロッカー、非接触型サービス加速

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、初めての緊急事態宣言が発令されて1年余り。薬局や医療機関での感染を防ごうと、2020年春ごろから患者さんの受診控えが進み、薬局の経営に大きな影響をもたらしました。ただ、大手チェーンではコスト削減を徹底し、利益を確保するケースが目立ちます。さらに、服薬指導から薬の受け渡しまで人と接触しない非対面・非接触のサービスなど新たな取り組みも始まっています。新型コロナは薬局経営に何をもたらしたのか。コロナ禍の1年余を振り返ります。 ※この記事は「CBnews」とのタイアップ企画です。

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処方箋受付、2月は「第1波」に次ぐ減少幅

「現在も、薬局の現場では感染拡大防止の対応や患者さんへの対応で、コロナによるさまざまな影響を受けている」。

新型コロナの感染が各地で広がり始めて1年ほどが経った2021年3月10日、中央社会保険医療協議会が開いた総会で、診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は薬局の厳しい経営状況をこう訴えました。

日本中がコロナ禍に見舞われたこの1年、病院や診療所と共に薬局も苦戦を強いられてきました。日薬の集計(速報値)によると、全国160の薬局による処方箋の受付回数は、感染が拡大する前の2020年2月の調剤分では前年同月とほぼ同じ水準でした。しかし、感染の「第1波」が広がり、緊急事態宣言が初めて出された4月はマイナス20.1%。翌5月にはマイナス22.5%に急落しました。

その後、感染者数が減少するにつれて10月ごろまでは緩やかな回復傾向がみられましたが、首都圏や関西地方を中心に「第2波」が拡大した11月以降、再び急落します。2回目の宣言が出された2021年1月の受付回数は前年同月比マイナス16.1%で、2020年5月に次ぐ落ち込みでした。病院や薬局での感染を恐れる患者さんの受診控えや、長期処方の増加が背景にあるとみられます。

また、厚生労働省が2021年3月、社会保障審議会の医療保険部会に報告した集計結果によると、診療所(医科)の2020年4-5月のレセプト件数は、「その他」を含む9つの診療科全てで前年同月から減少していました。6-7月には全診療科で下げ幅がいったん縮小しますが、11月には再び軒並み拡大します。

特に小児科と耳鼻咽喉科の下げ幅が大きく、12月のレセプト件数は共に前年同月の7割台にとどまりました()。それらの診療所に隣接する薬局でも患者さんが減少したとみられます。

中医協の有澤委員は意見交換で、新型コロナが薬局にもたらす影響を日薬として引き続き注視する方針を説明し、国にも慎重な対応を求めました。

図 医科診療所の診療科別レセプト件数の前年同月比(小児科、耳鼻咽喉科)

出典:社会保障審議会医療保険部会(2021年3月4日)の資料を基に作成

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地域支援体制加算を半年間、柔軟運用

中医協は2021年3月10日、2020年度の診療報酬改定後の新たな要件の運用を柔軟にすることなどを決めました。薬局関連では地域支援体制加算が対象です。

薬局による地域医療への貢献を評価するこの加算の算定要件は2020年度の報酬改定で見直され、調剤基本料1の薬局にも服薬情報等提供料を1店につき年12回以上算定するなどの実績が求められました。新たな運用は、1年間の経過措置を経て2021年4月1日にスタートしました。加算の算定の可否は本来、2020年の実績で判断しますが、国は、新型コロナが拡大する前の19年の実績でクリアしている場合も、半年間に限り特例で算定を認めました。

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初回からオンライン服薬指導、恒久化検討

新型コロナの感染拡大による薬局や医療機関への影響に配慮し、国はこれ以外にも診療報酬の上乗せや規制の緩和などさまざまな支援策を講じています。

2020年4月には、処方医がファクスした「処方箋情報」に基づき電話やオンラインで服薬指導を行った薬局が調剤報酬を算定できるようになりました。初回から電話でも指導を行えるなど、医薬品医療機器等法の改正に伴いこの年の9月に施行されたオンライン服薬指導よりも踏み込んだ内容です()。

出典:2020年度全国薬務関係主管課長会議動画説明資料を基に作成

この枠組みは「0410対応」などと呼ばれ、医師による初診時からのオンライン診療とセットで容認されました。いずれも感染拡大時の時限的な特例ですが、デジタル化の推進を掲げる菅政権が2020年9月に発足すると、政府は初診・初回からのオンライン診療と服薬指導の恒久化を目指す方針を打ち出しました。

政府は、初診・初回の取り扱いや対象疾患、診療報酬上の取扱いなど恒久化の骨格を2021年6月までに固めることにしていて、これが薬局のサービスを大きく変える可能性をはらんでいます。

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大手チェーン各社の取り組み

全国の薬局が新型コロナの感染拡大の影響を受ける中、大手チェーン各社の業績や対応はどうでしょうか。上場している主要な調剤薬局・ドラッグストアの決算を見ると、2020年度には調剤薬局事業で収入を減らした企業が目立ちます。赤字に転落したケースもありますが、運営の効率化などでコスト削減を進めたり、オンライン服薬指導の新たなスキームを活用して「非接触」のサービスに乗り出したりして、利益を確保した企業が全体では多いようです。

(株)アインホールディングスは2021年4月期の第3四半期決算短信の中で、通期での連結業績を売上高3,000億円(前期比2.5%増)、営業利益92億円(同42.7%減)と予想しています。

処方箋枚数の減少や、運営の効率化を狙い前期に進めた閉店・事業譲渡の影響もあり、第3四半期(2020年11月1日-21年1月31日)は営業利益ベースで45.3%の減益でした。

ファーマシー事業では2020年11月、ビデオ通話システムや医療機器を搭載した「ヘルスケアモビリティ」を使い、長野県伊那市でオンライン服薬指導を実施しました。オンライン服薬指導から薬を届けるまで、将来的な医療サービスモデルの構築を目指すとしています。

また日本調剤(株)では、2021年3月期の連結売り上げが前期比3.9%増の2,789億5,100万円、営業利益は6.8%増の81億600万円と増収増益でした。調剤薬局事業では、新型コロナの影響で処方箋枚数がやはり減少したものの、全社規模でのコスト削減が想定以上に奏功したということです。

2020年9月には、薬機法改正に伴うオンライン服薬指導の解禁に合わせ、自社開発のオンライン服薬指導システム「日本調剤 オンライン薬局サービス」の運用を始めました。さらに、バイク便を利用する薬の即日配送の実証実験に取り組むなど新しい医療サービスの提供を追求しています。

オンライン薬局サービスは、患者さんが利用先の薬局で申し込み・登録を行い利用する仕組みで、24時間予約を受け付けます。薬局による非接触サービスへのニーズが高まる中、日本調剤では、治療・服薬を安心して継続できるよう利用を推進するとしています。

クオールホールディングス(株)の2021年3月期決算は売上高が前期比マイナス2.2%の1,618億3,200万円、営業利益がマイナス4.8%の73億6,400万円と減収減益でした。

2021年1月28日には、服薬指導から処方薬の受け渡しまでを非対面・非接触で完結させるサービスを始めたと発表しました。医療用アプリケーション事業のMICIN(マイシン)が提供する「curonお薬サポート」を使ってオンライン服薬指導を行い、患者さんは、クオール薬局内に設置されている(株)アルファロッカーシステムの「受け渡し用ロッカー」で薬を即日受け取れます。

今後は、処方薬だけでなくOTC医薬品やサプリメントの受け渡しにもロッカーを利用できるようサービスを展開する方針です。

一方、(株)メディカルシステムネットワーク(メディシス)が2021年5月7日に発表した業績説明資料(通期)によると、同年3月期の連結での売上高は1,042億5,700万円で、前期から0.9%減少しました。しかし、営業利益は前期の16億1,500万円を大幅に上回る34億2,900万円を確保しています。後発医薬品への切り替えを進めて収益を改善させ、業務の効率化や人員配置の適正化で経費を圧縮したことが要因です。

メディシスでは2020年7月、全国に428あるグループの「なの花薬局」の全店舗で、緊急避妊薬(アフターピル)の取り扱いを始めました。「0410対応」の枠組みを使って医師のオンライン診療を受けた人に遠隔で服薬指導を行い、望まない妊娠を防ぐためのアフターピルの郵送も行います。

また、LINEを利用して健康・お薬相談や服薬期間中のフォローを行うことができるLINE公式アカウント「あなたのかかりつけ薬局」サービスの導入も開始しています。

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