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調剤業務の外部委託容認 政府内で議論
責任の所在など焦点、日薬は強く反対

薬局が行う調剤業務の外部委託の容認を巡る議論が政府内で活発化しています。2021年夏に閣議決定された規制改革実施計画に、外部委託の容認を含む「調剤業務の効率化」の推進が盛り込まれたのがきっかけで、厚生労働省内のワーキンググループが2022年夏にかけて検討することになっています。薬局薬剤師の業務を一変させる可能性をはらむこれまでの議論を整理します。 ※この記事は「CBnews」とのタイアップ企画です。

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規制改革実施計画に「調剤業務の効率化」

規制改革推進会議の「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」が1月19日に開いた会合は、薬局による対人業務の充実がテーマになり、日本経済団体連合会が調剤・服薬指導に関する8つの提言を行いました=表1=。

そのうちの一つが「一包化を含む調剤業務の外部委託の容認」で、経団連は医薬品医療機器等法に基づく調剤業務に関する規定の改正を主張しました。

薬機法施行規則11条の8では、薬局開設者がその薬局の薬剤師以外に販売・授与の目的で調剤させることを原則禁じています。そのルールを見直して、調剤業務の外注を認めるべきだというのです。経団連の提言は中小規模の薬局を念頭に置いたもので、対物業務を効率化し、対人業務を充実させるのが狙いです。

表1 調剤・服薬指導に関する8つの提言

出典:「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(2022年1月19日)の資料を基に作成

経団連が2021年10月、インターネットで行ったアンケートでは、介護施設向けに処方や服薬指導を行う上で困っていることとして、回答があった36人のほぼ6割が「一包化に手間がかかる」を挙げました(複数選択可)。これは「その他」を含む6項目中トップです。

都市部などでの高齢化の進展に伴い、業務の負担が大きい分包へのニーズはこれから高まることが見込まれます。業務の効率化には分包機や監査システムの導入が有効とされますが、経団連は、資金力の小さな中小規模の薬局が機械化に独自に対応するのは困難だと指摘しました。

そして、それに代わるコスト合理化の「重要な手段」として挙げたのが調剤業務の外注です。中小薬局が調剤業務を外注できるようになれば、処方内容のチェックや疑義照会などの対人業務を強化し、競争力の向上も期待できるとしています。

経団連の提言は、政府が2021年6月に閣議決定した規制改革実施計画に「調剤業務の効率化」が盛り込まれたのがきっかけです。

この計画には明記されていませんが、政府が想定する具体策の一つが調剤業務の外部委託の容認です。2021年度中に検討に着手して早期に結論を出すこととされ、厚生労働省が2022年2月に検討を始めました。

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対人業務の充実と安全確保が前提、厚生労働省

仮に実現すれば、薬局薬剤師の業務を大きく変えそうな調剤業務の外部委託。当の厚生労働省はどのような姿勢を示しているのでしょうか。

規制改革実施計画が閣議決定されるのに先立ち、規制改革推進会議の「医療・介護ワーキング・グループ」(当時)が2021年4月20日に開いた会合は調剤業務の外部委託がテーマの一つでした。

この日の会合には厚生労働省の幹部らも出席し、調剤業務の外部委託について、▽処方箋を応需した薬局の責任の下で、医療の安全を確保できるか▽対人業務の充実に資するか-などの検討が必要だという認識を示しました。つまり、それらをクリアするなら外部委託はあり得るというスタンスです。

厚生労働省はこの日、対人業務推進への強い決意をにじませました。議事概要によると、山本史大臣官房審議官は、医療の高度化や患者さんのニーズの多様化を踏まえ、薬局薬剤師について、「対人業務をもっと手厚くしていかないと、医療の中で必要な機能が発揮できないだろう」という厳しい認識を示しました。

ただ、日本薬剤師会は調剤業務の外部委託に反対しています。

規制改革実施計画が閣議決定される前の2021年4月28日に開かれた定例記者会見の要旨によると、山本信夫会長は「薬剤師の本質的な調剤業務を他者に任せる提案については、そもそも議論をすべき問題でもないと認識しており、日薬とは意見を全く異にしているため賛成はできない」と述べていました。

「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」の2022年1月19日の会合には、日薬から安部好弘副会長と橋場元常務理事が出席し、橋場常務理事は「調剤というものが一連の行為で行うことで責任が果たせるということからすると、絶対に認めることはできない」と改めて強く反対しました。

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刑事責任は「委託先の薬剤師に」、専門家

日薬が指摘する責任の所在の明確化は、厚生労働省がこれまでに挙げている主な検討事項にも含まれています=表2=。

調剤業務を外部委託する際の責任の所在を巡っては、弁護士の國峯孝祐氏が2022年3月15日、「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」の会合で、民事上の責任は委託元の薬局に、刑事・行政責任は委託先の薬剤師個人に生じるなどの解釈を示しました。

ただ、委託先への指示を誤ったり不正確な処方情報を送信したりして患者さんに健康被害が生じるようなケースでは、委託元の薬剤師個人に責任が生じ得るということです。最終的な責任の分担は、契約内容や過失の割合などで異なる可能性があるとしています。

表2 調剤業務の外部委託に関する主な検討事項(厚生労働省)

出典:「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(2022年1月19日)の資料を基に作成

このほか日薬は、外部に委託した調剤作業を管理することの困難さも問題視し、委託者による精度の高い管理が必要なはずなのに、作業の様子や医薬品の管理状況すら把握できず、「受託者を信じるしかない」としています。

現場の不安は、経団連のアンケートにもにじみます。

アンケートでは、薬剤師の目の届かない外部で取りそろえた薬剤を患者さんに提供するべきではないという考え方に、薬局の経営層や薬剤師ら計120人の55.8%が「全くその通り」と答え、業務の外部委託に否定的な考え方を示しました。

これに対し、一定の条件付きで「そうは思わない」という前向きな回答は42.5%。そう答えた51人に具体的な条件を聞くと(複数選択可)、委託先が納品した現物を薬剤師がいったんチェックして患者さんに配送するなど「部分委託に限定する」が62.7%、「薬剤師が必要に応じて指示を行うなど、委託先を監督する責任を負う」が56.9%などの順でした。

責任の所在をどう整理し、業務の品質管理の精度をいかに担保するか-。調剤業務の外部委託を検討する上ではこれらの課題が大きなポイントになりそうです。

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「40枚規制」も見直し視野、外注容認なら

「調剤業務の効率化」が規制改革実施計画に盛り込まれたのを受けて、医療団体の幹部や在宅医療の専門家らによる厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」が2022年2月14日、初会合を開きました。

対人業務の充実や、医療安全を前提とした対物業務の効率化など4つのテーマを議論し、省内の検討会へ7月に報告することを目指します=表3=。

それと並行して、政府の規制改革推進会議も薬剤師の対人業務の充実を引き続き議論します。内閣府によると、夏ごろ決まる次の規制改革実施計画に、新たな内容が書き込まれる可能性もあるということです。

そして、薬局の調剤業務を巡っては、外部委託の容認に合わせて処方箋のいわゆる「40枚規制」を見直す可能性も厚生労働省が示唆しています。

このルールは、薬局薬剤師が取り扱う処方箋を原則として1人当たり1日40枚までに規制するというものです。そのため薬局は、処方箋の1日当たりの取扱枚数(平均)が40枚を超えるごとに薬剤師1人を配置しなくてはなりません。

厚生労働省によると、この取り扱いは2015年に行われた研究結果が根拠ですが、2021年4月20日の「医療・介護ワーキング・グループ」(当時)で山本審議官は、対物業務の外部委託が仮に可能になるなら、薬剤師の人数の規制も「それに沿ってしかるべきものがあり得る」と指摘しました。

患者さんの安全・安心をどう担保するか、調剤業務の外部委託と共に、薬剤師の職能が問われそうなテーマです。

表3 「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」のスケジュール案

出典:「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(2022年2月14日)の資料を基に作成

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