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オンライン服薬指導「薬剤師が自宅」で
働き方改革推進、“実施場所”規制緩和へ

医薬品医療機器等法に基づくオンライン服薬指導の新たなルールが2022年3月末に施行されました。オンライン服薬指導はこれまで初回には実施できませんでしたが、新たなルールでは、患者さんからの求めがあり、オンラインで行えると薬剤師の責任で判断すれば実施できます。さらに、医師のオンライン診療や訪問診療を受けた患者さんに対象を限定する規定も削除され、これまでより実施しやすくなりました。国は、オンライン服薬指導の普及状況や技術革新を踏まえて定期的にルールを見直す方針を示していて、薬剤師が自宅で行えるようにする方向で早速議論が進んでいます。薬剤師の働き方の選択肢は増えるのでしょうか。 ※この記事は「CBnews」とのタイアップ企画です。

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薬剤師の責任で実施可能かを判断

オンライン服薬指導は従来、対面での服薬指導を日ごろから行うなど、信頼関係が既にできている患者さんに、毎回同じ薬剤師が「服薬指導計画」に沿って実施することが原則でした。しかも、医師のオンライン診療や訪問診療を受けた患者さんに対象が限定され、介護施設の居住者には実施できず、政府内などでハードルの高さが指摘されていました。

これに対して新たなルールでは、患者さんに求められたら、これまで利用したことがない薬局でも薬剤師がその都度、実施可能か責任を持って判断すれば初回も実施できます。さらに、複数の患者さんが居住する介護施設でもプライバシーへの配慮を条件に実施が認められました。

オンライン服薬指導を実施できるかどうかは▽お薬手帳の情報▽ほかの薬局から提供された情報▽処方医の診療情報▽患者さんから聞き取った併用薬・副作用歴に関する情報-などで判断する仕組みです。

服薬指導計画の作成を求める規定も削除されましたが、薬局薬剤師は、服薬に関する必要最低限の情報を患者さんに明らかにしなくてはなりません。

厚生労働省の医薬・生活衛生局が2022年3月31日付で出した局長通知では、注射薬や吸入薬など服用に手技を伴う薬剤を初めて処方されてオンラインでの指導が難しい場合や、通信障害で実施が困難になる場合などに対面指導を促す可能性があることを患者さんにあらかじめ説明するよう求めました。さらに薬局は、情報漏えいを想定して責任の所在を整理し、それを患者さんに伝える必要もあります。

オンライン服薬指導の新たなルールは2022年3月31日に施行されました。ただ、新型コロナウイルスの感染が収束するまでは2020年4月に運用が始まった特例が継続されることになっていて、厚生労働省が感染の状況を見極めます。

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診療報酬を充実、算定回数も見直し

新たなルールの運用が始まるのに合わせ、厚生労働省は2022年度の診療報酬改定でオンライン服薬指導への評価も見直しました。

オンライン服薬指導の診療報酬は、外来診療を受けた患者さんと、在宅療養中の患者さんごとに設定されています。今回の改定で厚生労働省は、そうした枠組みを維持しつつ、それぞれの算定要件を見直し、評価を充実させました。

薬機法や局長通知などに基づきオンライン服薬指導を外来の患者さんに行った場合、薬局は2022年4月以降、服薬管理指導料4を算定することになりました。点数は、対面の服薬指導と同じに設定され、原則3ヶ月以内に再度処方箋を出した患者さんは1回45点、それ以外が1回59点=図1=。

服薬管理指導料4は従来の薬剤服用歴管理指導料4に当たり、見直し前は1回につき一律43点でした。また、薬剤服用歴管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料全体に占める指導料4の算定割合(月ベース)は1割以下に制限されていましたが、そうした規定は削除されました。

図1 情報通信機器を用いた服薬指導の評価(改定後、外来)

出典:「2022年度診療報酬改定の概要(調剤)」を基に作成

一方、在宅療養中の患者さんにオンライン服薬指導を行った場合は在宅患者オンライン薬剤管理指導料として1回59点を算定します。従来の在宅患者オンライン服薬指導料(1回57点)に比べ2点のアップです=図2=。

在宅患者オンライン服薬指導料は患者さん一人につき月1回しか算定できませんでしたが、見直し後の在宅患者オンライン薬剤管理指導料は対面指導の分を含め、原則として月4回まで算定できるようになりました。

中央社会保険医療協議会が2022年2月にまとめた2022年度診療報酬改定の付帯意見では、今回の見直しの影響を調査・検証し、オンライン服薬指導への適切な評価を引き続き検討することとされています。

図2 情報通信機器を用いた服薬指導の評価(改定後、在宅)

出典:「2022年度診療報酬改定の概要(調剤)」を基に作成

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見直し案、異例の“パブコメ2回”

薬局の薬剤師が行うオンライン服薬指導は、2019年の薬機法改正に伴い2020年9月に施行されました。2018年に解禁された医師のオンライン診療と足並みをそろえるためでしたが、新型コロナウイルスの感染がそれに先立ち各地で拡大し始めます。

そうした中、薬局で感染が広がるのを防ごうと、厚生労働省は2020年4月に事務連絡を出し、オンライン服薬指導の特例の運用を始めました。

この特例は薬機法に基づくルールとは別の枠組みで、運用が始まった日付にちなみ、「0410対応」などと呼ばれます。オンラインだけでなく電話による服薬指導の実施を初回から認め、診療報酬の算定も認めるという、薬機法のルールに比べ踏み込んだ内容です。患者さんごとの服薬指導計画に関する規定もありません。

「0410対応」と薬機法の新しいルールとでは患者さんの居住地の取り扱いも異なるので、新ルールの運用開始時は注意が必要です=表1=。

表1 オンライン服薬指導の薬機法に基づくルールと「0410対応」の比較

出典:2022年度全国薬務関係主管課長会議資料(参考資料編)を参考に作成

「0410対応」は新型コロナの感染拡大期のみの時限措置ですが、政府はその後、初回からの実施を恒久化する方針を打ち出します。ポストコロナの「デジタル時代」を見据えた国家戦略の一環で、2021年度中に新たなルールの検討を始め、2022年度から順次実施することとされました。

それを受けて厚生労働省は2021年11月にルールの見直し案を公表し、それへのパブリックコメントを実施しましたが、政府の規制改革推進会議から見直し案の修正を迫られます。

この時の見直し案は、初回は対面指導を原則とし、やむを得ない場合に限り、お薬手帳で服薬状況を確かめるなどの条件付きで「初回オンライン」を認めるという内容でした。しかも、初回からオンラインで指導する場合にまで服薬指導計画を作るよう求めていました。

規制改革推進会議の「医療・介護ワーキング・グループ」(当時)が2021年12月に開いた会合では、厳しい規制がオンライン服薬指導の普及の妨げになりかねないという意見が相次ぎました。

結局、見直し案は修正され、厚生労働省はパブリックコメントをやり直しました。この修正版が現在のルールのベースに当たります。オンライン服薬指導のルールの見直しはパブリックコメントを2回行うという異例の経緯をたどったのです。

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常時在宅、日薬「想定しにくい」

厚生労働省は、オンライン服薬指導の普及や技術革新の状況を踏まえて定期的に運用を見直す方針を示していて、早速議論が始まっています。

規制改革推進会議が2021年12月、分野ごとにまとめた当面の実施事項には、オンライン服薬指導を薬剤師が自宅で行えるよう早期に検討する方針が盛り込まれました。

薬剤師の働き方改革の推進につなげることなどが狙いで、具体的な枠組みは、厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」で検討しています。

薬局の薬剤師がオンライン服薬指導を行う場所は「調剤を行った薬局内」と規定されていますが、それを見直して薬局以外でも実施できるようにしようというのです。厚生労働省は、そうした方針を容認し、局長通知の見直し案を2022年の「前期」にまとめ、それへのパブリックコメントをまた行うことにしています。

ワーキンググループが2022年3月31日に開いた会合では、薬剤師が薬局以外でオンライン服薬指導を行う場合、▽責任の所在を明確にするため薬局に所属▽患者さんのプライバシーを確保するため、公衆の場では行わない-などを順守する必要があるという認識を示しました=表2=。

表2 オンライン服薬指導の薬剤師の場所に係る対応方針

出典:「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(2022年3月31日)の資料を基に作成

日本薬剤師会も、患者さんのかかりつけ薬剤師がオンライン服薬指導を自宅で行えるように検討を進める必要があるというスタンスで、2022年3月10日のワーキンググループでは、患者さんの個人情報やプライバシーが薬剤師の家族に漏えいしないための対策を取ることなどを求めました。

薬剤師がオンライン服薬指導を自宅で行うケースとして、日薬は▽家族の具合が悪くて出勤できない▽新型コロナへの感染や濃厚接触の可能性があり自宅待機になる-などを想定しています。

ただ、一般的なテレワークのように薬剤師が常時、在宅で対応するような勤務形態は考えにくいとしています。

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