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医薬品の基礎知識

忙しい薬局経営者に! パッと見てわかる新薬解説
【2022.11月収載版】

2022年11月16日、厚生労働省は新薬16製品を薬価収載しました。多くの薬剤師が動向を確認する新薬の発売状況。日々、経営業務に追われて、見過ごしてしまっていませんか? そこで今回は日々忙しい薬局経営者や薬剤師の方々のために、保険薬局で取り扱われる薬に絞って要点をわかりやすく解説していきます。

1
保険薬局で取り扱う新薬を紹介

薬価や算定方式については、2022年11月9日に行われた第531回中央社会保険医療協議会(中医協)総会で了承されています。
今回薬価収載された16の新薬のうち、保険薬局で取り扱う機会の多い以下9製品の特徴を簡単に紹介していきます。

2
フィンテプラ内用液(フェンフルラミン塩酸塩)

フィンテプラは、ドラベ(Dravet)症候群に伴うてんかん発作の治療薬です。他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない患者に対し、既存の抗てんかん薬と併用します。

Dravet症候群は、乳幼児期〜小児期に発症するてんかん性脳症のひとつで、運動および神経発達に関わる合併疾患を伴う、頻回かつ重度な薬剤抵抗性の難治性てんかん発作を特徴としています。日本では指定難病とされています。

作用機序は5-HT1D、5-HT2A、5-HT2C受容体など脳内の特異的セロトニン受容体に対するアゴニスト作用、ならびにシグマ-1受容体に対する正のモジュレーター作用を介すると考えられています。

通常、成人および2歳以上の小児には1日0.2mg/kgを1日2回に分けて経口投与で用いますが、1日の最大用量などはDravet症候群治療薬であるディアコミット(一般名:スチリペントール)の併用の有無で異なります。

製品名 フィンテプラ内用液2.2mg/mL
規格単位(薬価) 0.22%1mL(1,407.60円)
効能・効果 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 539人
ピーク時販売金額 30億円
製造販売(発売日) ユーシービージャパン(発売日未定)

3
アムヴトラ皮下注(ブトリシランナトリウム)

アムヴトラは、常染色体優性遺伝疾患であるトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)治療における第二世代の低分子干渉RNA(siRNA)製剤です。

アムヴトラはRNA干渉(RNAi)によって肝臓におけるトランスサイレチン(TTR) mRNAの特異的な分解を促進し、TTRの産生を抑制します。アムヴトラの構造は、TTR遺伝子と同じ配列をもつsiRNAとN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を結合させたもので、GalNAcで修飾することで非常に不安定なsiRNAの分解を妨げ、さらに肝臓に対しての選択性を高めると考えられています。

3週間に1回点滴静注する既存薬オンパットロ点滴静注(一般名:パチシランナトリウム)に比べて、アムヴトラは3ヶ月に1回の皮下投与であり利便性が高いという特徴があります。

製品名 アムヴトラ皮下注25mgシリンジ
規格単位(薬価) 25mg0.5mL1筒(7,810,923円)
効能・効果 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 376人
ピーク時販売金額 117億円
製造販売(発売日) Alnylam Japan(発売日未定)

4
グラアルファ配合点眼液(リパスジル塩酸塩水和物/ブリモニジン酒石酸塩)

グラアルファは、Rhoキナーゼ阻害薬であるグラナテック点眼液の有効成分リパスジル塩酸塩水和物と、アドレナリンα2受容体作動薬であるアイファガン点眼液の有効成分ブリモニジン酒石酸塩を組み合わせた配合点眼液です。グラナテック点眼液やアイファガン点眼液と同様に緑内障、高眼圧症に効能・効果があります。

グラアルファは他剤併用を必要とされる患者の服薬アドヒアランス向上を目的に作られました。既存の配合点眼液と薬理学的な作用点が異なるため、配合点眼液を含むさまざまな緑内障・高眼圧症治療剤と併用できます。

1回1滴、1日2回点眼します。14日間ルールの処方制限は設けられていません。

製品名 グラアルファ配合点眼液
規格単位(薬価) 1mL(515.00円)
効能・効果 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合:緑内障、高眼圧症
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 23万人
ピーク時販売金額 81億円
製造販売(発売日) 興和(発売日未定)

5
リバゼブ配合錠(ピタバスタチンカルシウム水和物/エゼチミブ)

リバゼブはHMG-CoA還元酵素阻害剤であるリバロ錠の有効成分ピタバスタチンカルシウム水和物と、小腸コレステロールトランスポーター阻害剤であるゼチーア錠の有効成分エゼチミブを組み合わせた配合剤です。ピタバスタチンを含んだ配合剤は今回初です。効能・効果は「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」です。

異なる2つの作用機序で相補的に血中のLDLコレステロールを低下させる組み合わせであり、国内外のガイドラインでも併用療法は推奨されています。配合剤とすることで利便性や服薬アドヒアランスの向上が期待できます。

通常、成人には1日1回1錠を食後に経口投与します。14日間ルールの処方制限は設けられていません。

製品名 リバゼブ配合錠LD、同配合錠HD
規格単位(薬価) リバゼブ配合錠LD 1錠(87.80円)
リバゼブ配合錠HD 1錠(116.00円)
効能・効果 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 13万人
ピーク時販売金額 43億円
製造販売(発売日) 興和(発売日未定)

6
テゼスパイア皮下注(テゼペルマブ(遺伝子組換え))

テゼスパイアは、上皮細胞から産生されるサイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を標的とする最初で唯一の生物学的製剤である気管支喘息治療薬です。

TSLPは複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮細胞サイトカインであり、獲得免疫細胞への作用および自然免疫細胞への作用を介して複数の炎症経路を活性化するとともに、気道過敏性を誘導し、重症喘息患者の増悪に関与します。

TSLPを阻害することで、下流のTh2細胞や2型自然リンパ球(ILC2)の働きが抑制され、また各種サイトカインの産生も抑制されることで気管支喘息の症状が緩和されると考えられています。

既存薬のデュピクセント(一般名:デュピルマブ)では各バイオマーカーが低値の場合は有効性が十分に得られない可能性が示唆されていますが、テゼスパイアは臨床試験においてバイオマーカー(血中好酸球数、FeNO、特異的IgE)によらない喘息増悪抑制効果を示しており、一定の治療効果が期待されています。

通常、成人および12歳以上の小児には1回210mgを4週間隔で皮下に注射します。

製品名 テゼスパイア皮下注210mgシリンジ
規格単位(薬価) 210mg1.91mL1筒(176,253円)
効能・効果 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 1.2万人
ピーク時販売金額 145億円
製造販売(発売日) アストラゼネカ(発売日未定)

7
ナノゾラ皮下注(オゾラリズマブ(遺伝子組換え))

ナノゾラは、2つの抗TNFαナノボディと抗血清アルブミンナノボディが融合した三量体構造を有する、初のヒト化低分子抗体です。効能・効果は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」です。

ナノゾラは2つの結合部位でTNFαに結合することで、関節リウマチの原因となるTNFαの作用を強力に阻害します。また、血清アルブミンと結合することで血中半減期を延長すると考えられ、さらに炎症組織への集積性が向上したことが報告されています。

ナノボディはラマ由来重鎖抗体の可変領域から作製した単一ドメインで、従来抗体の1/10サイズのため、従来の抗体では到達できない体内の部位に到達できる可能性があります。

通常、成人には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与します。

製品名 ナノゾラ皮下注30mgシリンジ
規格単位(薬価) 30mg0.375mL1筒(112,476円)
効能・効果 既存治療で効果不十分な関節リウマチ
市場規模
予測
ピーク時 9年後
ピーク時投与患者数 6.8千人
ピーク時販売金額 91億円
製造販売(発売日) 大正製薬(発売日未定)

8
ソーティクツ錠(デュークラバシチニブ)

ソーティクツは経口チロシンキナーゼ2(TYK2)に選択的でアロステリックな阻害をする、新規作用機序を持つ国内初の乾癬治療薬です。

TYK2は細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素群のひとつであるヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子です。TYK2は乾癬の原因となるインターロイキン(IL)-12、IL-23、1型IFNなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流の細胞内シグナル伝達を担っています。

ソーティクツはTYK2を選択的に阻害することで炎症や免疫応答を抑制するなどの各種乾癬症状に効果があると考えられています。

通常、成人には1回6mgを1日1回経口投与します。用量の漸増など調節は不要とされています。

製品名 ソーティクツ錠6mg
規格単位(薬価) 6mg1錠(2,770.90円)
効能・効果 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
市場規模
予測
ピーク時 10年後
ピーク時投与患者数 3.1万人
ピーク時販売金額 225億円
製造販売(発売日) ブリストル・マイヤーズ スクイブ(発売日未定)

9
エザルミア錠(バレメトスタットトシル酸塩)

エザルミアは、多くの血液がんで発現しているヒストンメチル化酵素であるEZH1およびEZH2を選択的に阻害する世界初の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)治療薬です。エザルミアはエピジェネティクス(DNA配列の変化を伴わずに遺伝子発現が制御される仕組み)領域の低分子医薬品です。

ATLは、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)がT細胞に感染し、腫瘍化したT細胞であるATL細胞が増殖することで発症します。ATL細胞ではたびたびEZH1およびEZH2遺伝子の変異が知られており、変異があるとEZH1/2が過剰となりヒストンの凝集が促進されます。その結果、T細胞の分化に必要なタンパク質が合成されず、腫瘍の発生・増殖が起こります。

エザルミアはATL細胞で過剰に発現しているEZH1/2のメチル化活性を選択的に阻害することで、T細胞の正常な分化が促され、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

通常、成人には200mgを1日1回空腹時に経口投与します(患者の状態により適宜減量)。

製品名 エザルミア錠50mg、同錠100mg
規格単位(薬価) 50mg1錠(6,267.70円)
100mg1錠(12,017.00円)
効能・効果 再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫
市場規模
予測
ピーク時 3年後
ピーク時投与患者数 101人
ピーク時販売金額 5.5億円
製造販売(発売日) 第一三共(発売日未定)

10
コセルゴカプセル(セルメチニブ硫酸塩)

コセルゴは、神経線維腫症1型(NF1)における叢状神経線維腫(PN)を効能・効果にもつ国内初の治療薬です。

NF1は指定難病とされており、腫瘍抑制タンパク質であるNF1腫瘍抑制遺伝子の病的バリアント(疾患発症の原因となる個人間でのDNA配列の違い)が原因で発症します。特有な皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)や患者の3〜5割にみられるPNが特徴的症状であり、外観上の変形や運動機能障害、疼痛などを引き起こすことがあります。

NF1患者では、細胞の増殖刺激に関与する酵素である分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2)が過剰に活性化されるため、腫瘍細胞の制御不能な増殖が起こります。コセルゴはMEK1/2を阻害することで腫瘍細胞の増殖を抑えると考えられています。

通常、小児には1回25mg/m2(体表面積) を1日2回空腹時に経口投与します(患者の状態により適宜減量、1回量上限は50mg)。処方制限は例外的に28日とされています(製品が28カプセルボトル包装のみのため)。

製品名 コセルゴカプセル10mg、同カプセル25mg
規格単位(薬価) 10mg1カプセル(12,622.80円)
25mg1カプセル(30,257.80円)
効能・効果 神経線維腫症1型における叢状神経線維腫
市場規模
予測
ピーク時 4年後
ピーク時投与患者数 232人
ピーク時販売金額 57億円
製造販売(発売日) アレクシオンファーマ(発売日未定)

※上記の薬価や効能・効果は全て収載時(2022年11月16日現在)のものです。

※ピーク時・ピーク時の投与患者数・ピーク時の販売金額は、販売製造元が市場規模予測したものです。

1+
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