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電子処方箋がスタートになる、薬局薬剤師DX
フォローアップ・オンライン服薬指導対応のインフラ

薬局薬剤師の今後の業務展開にとって、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは欠かせないものとなっていきます。調剤後のフォローアップやオンライン服薬指導に対応していくためにも、ICTの活用が必須です。2023年1月から運用開始の電子処方箋への対応をスタートに、薬局薬剤師DXは対人業務推進の基盤となっていくでしょう。 ※この記事は「CBnews」とのタイアップ企画です。

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薬局薬剤師にとってのDXとは

デジタルは数値で表すこと、トランスフォーメーションは変化あるいは変革、変換という意味ですので、DXを直訳すると、数値で表すことによる変革、といった内容になります。
ビジネス上では、顧客や社会のニーズを基に、「データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、併せて、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革して、競争上の優位性を確立する」こととされます。

対人業務のさらなる充実を中心的な課題とした厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」は、取りまとめで「薬局薬剤師DX」を位置付け、「2023年1月に導入予定の電子処方箋制度は、リアルタイムでの処方・調剤情報の閲覧を可能にするものであり、薬局薬剤師の役割を大きく変えるもの」としました。

さらに、「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及及びデータヘルス改革・電子処方箋の導入を通じた各種医療情報の共有が進む中で、薬局薬剤師もデジタル技術への対応は必須」だと指摘しています。

こうした薬局薬剤師DXのスタートラインにあるのが、2023年1月から運用開始となる電子処方箋です。また、その電子処方箋の基盤として、マイナンバーカードを健康保険証として活用するオンライン資格確認システムの整備が、2023年4月からの原則義務化に向けて進められています。

オンライン資格確認システムに必要な顔認証付きカードリーダーの申し込みは、義務化対象の医療機関・薬局の95.0%、薬局では96.8%に達し、運用を開始している施設は全体で39.2%、薬局では63.4%となっています(2022年11月27日現在)。

運用が開始されているオンライン資格確認システムでは、医療機関や薬局は、すでにレセプト情報を参照できます。ただし、レセプト情報であるため月遅れの情報となっています。

一方、電子処方箋では、処方箋を基にした情報をリアルタイムで参照することができるようになります。さらに、それらの情報を活用して、重複投薬などのチェックも可能となります。(2022年7月のタイアップ記事「電子処方箋の受け入れ体制作り、運用開始は目前」参照)

図1 電子処方箋で医療連携の新たなステージへ

出典:厚生労働省「電子処方箋概要案内」【薬局】(2P)

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DXで期待される姿と現実の薬剤師ITリテラシー

電子処方箋でスタートとなる薬局薬剤師DXで、厚生労働省のワーキンググループが期待を込めて描いたのは、▽マイナポータル経由で閲覧可能なレセプト薬剤情報や特定健診情報などの医療情報基盤により、充実する情報を活用した対人業務の質の向上▽医療機関への効果的・効率的な情報フィードバック▽ICTを活用した患者フォローアップの充実▽患者ウェアラブル端末などから得られる情報も総合的に踏まえた新たなサービスの提供-です。
いずれも対人業務の充実や拡大となっていくものです。

一方の対物業務については、薬剤師の業務から、ICTを活用した調剤機器に取って代わられる可能性を指摘しました。
すでに、一包化支援、監査支援、薬剤の取り揃え、外用剤や液剤の調製などの調剤機器が使用され、対物業務の効率化や安全確保に貢献していることを挙げています。

電子処方箋や医療情報基盤からの情報収集、患者フォローアップと、それらの取り組みを可能とする対物業務の効率化の全てでICTの活用が求められることになります。

しかし、現状では、薬剤師のITリテラシー(入手・利用可能なインフォメーション・テクノロジーを使いこなし、業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付ける能力)には、個人差が大きいことも指摘し、患者への指導や説明の際の薬剤師側のセキュリティやプライバシー確保を含めたITリテラシーの向上が必要だとしています。

ITリテラシーの向上やIoTデバイス(Internet of Things Device:スマートフォン、PC、タブレット、ウェアラブル端末など)の活用、患者の日常生活管理に必要な情報などを習得するために、厚生労働省と日本薬剤師会などが研修を充実させていくべきとの意見もありました。
薬剤師自身が個々に取り組む必要もあります。

さらに、厚生労働省には、電子処方箋のモデル事業などを通じ、好事例を収集して、関係者の協力を得ながら進めていくことも促しています。
オンライン資格確認システムを基盤とした情報共有、ウェアラブル端末から取得した情報などを、調剤時の服薬指導に活用するのにとどまらず、健康相談や要指導・一般用医薬品の販売時にも活用するなどの事例について、具体的な活用を全国的に進めることが求められています。

地域医療連携ネットワークなどでは、薬局薬剤師DXとしても先進的な取り組みが行われている例もあるとされ、そうした事例の共有を進めることも指摘されました。

図2 電子処方箋のモデル事業

出典:厚生労働省「電子処方箋のモデル事業-モデル地域ごとの参加予定施設」(1P)

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厚生労働省の薬局薬剤師DX推進策

厚生労働省としても、具体的な取り組みを進めています。2022年度予算では、電子処方箋管理サービスの円滑な導入として、384億円を新規に計上しています。その大部分が電子処方箋の導入に向けた医療機関や薬局へのシステム整備の支援です。

また、電子処方箋モデル事業の実施と、それに基づく服薬指導のガイドライン作成のため、2021年度補正予算による9.3億円の事業もあります。
処方内容の伝達に誤りなどが発生すると患者の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、実施する場合の検証を含め、安全かつ正確な運用に向けた環境整備を行い、さらに、検証で得られたデータを基に、疑義照会や重複投薬防止に関する運用面のルールの整備や、電子処方箋を活用した効果的な服薬指導のガイドラインも策定します。

データヘルス改革に対応した次世代型お薬手帳の活用も新規事業として約4,000万円を計上しています。
マイナポータルや電子処方箋、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の推進などのデータヘルス改革の動きを踏まえ、▽一般用医薬品などの情報の効率的な把握と管理の方策▽今後活用が期待される機能についての調査▽薬局・店舗販売業などでの効果的な活用方法-を検討します。

薬剤師の資質向上のための研修事業も新規に2,500万円計上されています。医療の高度化・複雑化などを踏まえ、▽がん患者や小児・妊産婦などに対する薬物療法など専門性の高い薬学管理・指導を実施するための研修▽薬剤師・薬局業務へのICT技術導入など新たな社会ニーズの高まりに対応するための研修-を行います。

2023年度も、「薬事分野のDX推進」として前年度比34%増の2億7,600万円を計上しています。
これとは別に、電子処方箋関係予算として、医療情報化支援基金による支援130億8,700万円もあります。電子処方箋の導入に必要な医療機関・薬局のシステム整備を支援します。

薬事分野のDX推進の中では、薬局機能の高度化推進として新規に6,200万円を計上し、薬局のICTの進展への対応、対人業務強化のためのガイドライン作成、高度な専門性の発揮に焦点を定めた研修、健康サポート機能の最大化に取り組み、それらの効果を検証します。

データヘルス改革を踏まえた次世代型お薬手帳の活用も引き続き推進します。1,400万円を計上し、電子版お薬手帳から医薬品の安全性情報に容易にアクセスできる仕組みを構築して、ユーザビリティの改善を図ります。

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DXで進展・拡大する対人業務

対人業務の進展・拡大にDXが大きな役割を果たすのは、電子処方箋を介した重複投薬チェック、そして、オンライン服薬指導、調剤後のフォローアップ、電子版お薬手帳、電子薬歴です。

重複投薬は、電子処方箋が普及した段階では、瞬時に結果が知らされることになるでしょう。
オンライン服薬指導は、初回から、また、オンライン診療の場合でなくても対応可能となり、薬局以外の場所でも対応できるようになりました。薬剤師の判断により、幅広い対応が可能となっています。

調剤後のフォローアップは、電話以外に、オンライン服薬指導アプリなど、ICTやAIを用いた服薬フォローアップのツールを使うことができるようになりました。患者が、スマートフォンなどに届く簡単な質問に回答することで、薬剤師は、これまで把握が困難だった潜在的なシグナルを検知することが可能になっています。
厚生労働省には、ICTやAIを積極的に活用した調剤後のフォローアップの好事例を収集して、効果の検証や普及の手法を検討することが求められています。

電子版お薬手帳では、患者からPHRを取得して、薬局で患者情報を一元的に管理することにより、患者の日々の健康医療データを踏まえた薬学的管理や指導が可能となっています。
そのため、電子処方箋などの基盤整備の際には、PHRに関する民間のアプリケーションと連携できるようなAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携を可能とする情報の標準化が求められています。

電子薬歴は、導入・活用している薬局が増えています。電子処方箋などのデータ連携先について厚生労働省は、レセコンだけでなく、電子薬歴なども可能にするよう、システム事業者と調整する方向です。
また、薬歴記載の業務効率化や情報の整理・抽出に電子薬歴の入力アシスト機能による定型文の使用が進んでいる中で、その定型文が医療保険上の指導を受ける場合があり、厚生労働省は、電子薬歴による頻用文書の定型化の在り方の整理を進める方向です。

薬局薬剤師DXの推進には、標準的データ交換形式への対応など、厚生労働省にさまざまな環境整備が求められます。薬局側のサイバー攻撃に備えるサイバーセキュリティ確保でも、国の支援が必要との声があります。

今後の対人業務の在り方を想定すれば、薬局薬剤師DXは多少の時間をかけても乗り切らなければならないテーマでしょう。

図3 薬局薬剤師DXに向けた対応

出典:厚生労働省「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ概要資料」(11P)

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