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医薬品流通

「4メガ卸」とは?
医薬品卸業界大手4社を解説

医薬品を病院や調剤薬局に届けてくれる医薬品卸売会社(以下、卸)のことを、どのくらいご存じでしょうか? 全国には71社(2020年3月時点)の日本医薬品卸売業連合会(以下、卸連)加盟社があります。そのうち全国流通している4社は「4大卸」と呼ばれ、8割を越えるシェアを誇ります。再編や統合を経て巨大化し年商1兆円を超える4大卸は、「4メガ卸」の通称で呼ばれることもあります。今回は、医薬品の流通を支える4大卸を解説していきます。

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4大卸とは? 医薬品卸業界再編の経緯

現在、4大卸と呼ばれているのは以下の4社です。

  • 1. 株式会社メディパルホールディングス
  • 2. アルフレッサホールディングス株式会社
  • 3. 株式会社スズケン
  • 4. 東邦ホールディングス株式会社

※各社の決算発表資料と卸連の公表資料を元に作成

株式会社メディパルホールディングス(以下、メディパル)が最大手で、アルフレッサホールディングス株式会社(以下、アルフレッサ)が業界2位。次いで、株式会社スズケン(以下、スズケン)、東邦ホールディングス株式会社(以下、東邦HD)という勢力関係です。この4社への統合という形で再編された医薬品卸業界ですが、苦難の時代もありました。

まずは、医薬品卸業界の歴史を振り返ってみましょう。1992年に卸の業界団体である卸連に加盟していた351社は、苦しい日々を過ごします。医薬品は患者さんの命を左右するため、卸は納品までのスピードが求められます。病院や調剤薬局との取引時に、医薬品の価格の決定よりもスピードが優先され、納品時になっても取引価格が決まらないこともありました。遅いときには納品から半年以上の時間が経って、ようやく金額が決まるケースも。差別化が難しいというサービスの背景もあり値引き競争が繰り返され、業界の営業利益率は0.4%まで下落しました。病院や調剤薬局からの厳しい要求によって配送コストもかさみ、2020年には71社に減少。単独での生き残りが非常に厳しい業界の中で、業界大手4社に統合というシナリオは自然な流れでした。これが業界再編の背景です。

また、医療用医薬品の卸売事業以外にも事業を拡大する動きが見られます。調剤薬局の展開や後発医薬品の製造、医薬品メーカーのマーケティング支援などです。

では、急成長を遂げ今では「4メガ卸」と呼ばれるまでになった4社の特徴を見ていきましょう。

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欠品率1%、ミス率0.0003%を実現するメディパル

業界最大手のメディパル。しっかりとした商品説明や提案をしてもらえると多くの薬局から支持されています。5,000社を超えるメーカーから仕入れた医薬品などを、病院や診療所、調剤薬局はもちろん、コンビニやスーパーマーケット、動物病院や畜産農場などを含めた24万件もの取引先に展開する「メガ卸」です 。

ALCと呼ばれる独自の物流センターは2万種類以上の在庫保管能力を持ち、各地の需要に合わせた商品を取りそろえています。過去の出荷実績をベースに需要予測システムを開発し、欠品率は1%をキープ。取引する調剤薬局は、欠品の不安に駆られることなく安心して医薬品を取り寄せることができます。

また、医薬品の出庫時に正確に商品をピッキングできるシステムを取り入れることで、商品の取り違えや数量のミスを防止することにも力を注ぎ、ミス率0.0003%以下を実現しています。完全密閉された専用ボックスでの検品作業が、スキャン作業のみで終了するのでとにかく早いのもポイント。
従来、50品目で3分程度かかっていた検品が10秒で完了することで、薬剤師の手間が軽減されます。さらに、薬品棚の配置に合わせて薬を箱詰めしてくれるため、検品後の棚入れ作業も効率的に行うことができます。このように配慮の行き届いたサービスを受けられるのが、メディパルの魅力です。

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医療経営士が1,600名を超えるアルフレッサ

業界2位のアルフレッサは、医薬品購入はもちろん、在庫管理から経営支援におけるまで幅広く薬局経営をサポートしてくれます。日本全国のそれぞれの地域に合った「地域医療」を支援するために、社内のMSに医療機関経営の知識を有する「医療経営士」の資格取得を推進。
現在、認定試験に合格したMSは1,600名を超え(2019年3月時点)、取引先の薬局に対してサポートを行なっています。

また、医療のさまざまな現場に関わる立場から、幅広い職種の医療関係者が連携して医療活動を行う「地域医療」において、その連携を先導できる人材育成を進めています。OTCを取り扱うヘルスケア部門も充実しています。

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強固なグループネットワークを築く老舗スズケン

スズケンは、創業80年を越える卸です。老舗ならではの歴史の中で築いてきた強固なグループネットワークを活かしたサービスが強みです。国内外の多くの医薬品メーカーや医療機器メーカーなどから医療用医薬品・診断薬・医療機器・医療材料・医療食品を仕入れてきた実績があり、スペシャリティ医薬品(※)にも強みを持ちます。

「お客さまに学ぶ」という精神のもと、薬局が明確に意思表示したニーズだけでなく、気づいていないニーズを客観的な視点で提案してくれるため、経営に活かすことができます。また、さまざまな医薬品を紹介できるPCツール「MS-navi」を使って、薬剤のポイントをわかりやすく紹介してくれます。

※希少疾病薬をはじめ、バイオ医薬品や高額医薬品、再生医療等製品群の医薬品の中でも、厳密な温度管理と在庫管理、セキュリティ管理が必要な製品。

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開業支援に力を入れる東邦HD

東邦HDの医薬品卸売事業を運営する東邦薬品株式会社は、1948年の事業開始以来、時代に即した流通網の整備と、再構築に努めています。新たな時代に向けて、医薬品、検査薬、医療機器、OTCなど、薬局や病院などの多様なニーズを満たす商品調達力が魅力です。
国内外1,000社を超えるメーカーから20万種類以上の製品を仕入れ、全国11万件を超えるお取引先に供給しています。

また、積極的な投資を続ける「物流センター」には、商品のピッキング作業を行うロボットを導入するなど自動化の限界に挑戦し、99%を上回る出庫精度を目指しています。最先端技術を導入することで、品質(徹底した品質管理)や安全性(トレーサビリティの実現)、効率(効率的な物流環境の構築)を業界最高レベルに保ち、有事であっても供給を継続できる仕組みを確立しています。

さらに、東邦HDは患者さんが自宅や地域で安心して暮らせるように、地域の医療・介護従事者の連携にも注目。地域医療の活性化のために、さまざまな職種と関わりを持つ会社の特性を生かし、地域包括ケアシステムの構築にも力を注ぎます。積極的に勉強会などを開催することで、医師や薬剤師、訪問看護師を地域でつなぐ活動も行っています。

今回は、多くの調剤薬局と取引を行う卸の中でも、とくに大きな4つの会社をご紹介しました。それぞれの会社によって特徴があるので、取引を検討する際の参考にしてみてください。

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