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薬局の所在地で異なる
ジェネリック医薬品の普及の進め方

国策としてジェネリック医薬品の普及に取り組んだ結果、今や日本国内におけるジェネリック医薬品の使用割合は80%に到達しようとしています。ここではジェネリック医薬品を使う根本的な意義と、各地域の背景に合わせた使用促進のための施策の紹介、そして複数のメーカーから発売されているジェネリック医薬品の選び方についてご紹介します。

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なぜジェネリック医薬品の使用割合目標は80%なのか

日本では2007年からジェネリック医薬品の普及促進に取り組んできました。当時厚生労働省が掲げた目標は5年間で使用割合を30%以上とすること。その後も、さまざまな施策に積極的に取り組むことで徐々に使用割合を高めることに成功し、現在では、2020年9月までに80%を達成することを目標としています。

国がジェネリック医薬品の普及を推し進める理由は、一にも二にも患者さんの金銭的負担を軽減させ、超高齢化によりひっ迫している医療保険財政の改善を図り、日本の国民医療を守ることにほかなりません。80%という目標は非常に高い壁に思えますが、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスなど医療先進諸国の使用状況を参考に定められています。欧米では新薬の特許が切れると約1年で80%がジェネリック医薬品に切り替わるというデータもあり、日本もその域に近づくことを目指しています。2017年度の日本の医療費は42.2兆円で、そのうち調剤にかかった費用は7.7兆円とされています。2017年度のジェネリック医薬品の使用割合は69.9%。仮にジェネリック医薬品の使用割合が70%から80%に上がれば、約4,000億円の削減効果があると見込まれています。

ジェネリック医薬品の普及促進のためには、多くの課題をクリアする必要があります。医薬品を提供する側には安定供給や品質に対する信頼性の向上、十分な情報提供などが求められますし、使用する側もジェネリック医薬品の安全性やメリットについて理解を深め、意識を変えなくてはなりません。国としては医療保険制度を見直すことに加え、医療・医薬品業界が体系的に前進できるような仕組みづくりも必要となります。
医師や患者さんからの「効果に不安がある」という声に対しては、メーカーが品質の向上とジェネリック医薬品の普及啓蒙に努めてきたことに加え、先発医薬品と原料、添加物、製法がまったく同じオーソライズド・ジェネリック(AG)や先発医薬品に付加価値をつけて改良したアドバンスト・ジェネリックを発売することなどで、不安の解消に努めてきました。また流通が安定しないという課題には、国が「ジェネリック医薬品供給ガイドライン」を制定することでメーカーが安定供給マニュアルを作成するための指針とし、安定供給体制を強めています。

協会けんぽの取り組みとしては、ジェネリック医薬品の使用割合が低い医療機関・調剤薬局に対して訪問による情報提供や要請をしたり、「ジェネリック医薬品使用割合向上に寄与する上位10医薬品」や「薬効分類別の使用割合」、「各医療機関等のジェネリック医薬品使用割合」などを可視化できる資料を医療機関ごとに作成し、送付する事業などを実施しています。一方、患者さんに対してもジェネリック医薬品について知ってもらうための広報活動やジェネリック医薬品への切り替え時の軽減額通知の対象者拡大などの施策を行っています。

さらに、国の施策としても2018年に生活保護法を改正し、被保護者は原則としてジェネリック医薬品を使用してもらうなど、さまざまな方面から利用割合を高めるための施策を実施してきました。

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ジェネリック医薬品使用割合に影響を与える地域差

厚生労働省は日本各地でジェネリック医薬品の使用を促進させるため、ジェネリック医薬品の使用に関する協議会を都道府県単位で開催する委託事業を2008年度から展開しています。全国一律の施策だけでは各地の医療・医薬品関係者に「自分事」として捉えてもらいにくいものですが、地域の身近な関係者が集まって議論する機会を設けたことで、地域ごとに具体的な取組みが行われるようになりました。ここでは、ジェネリック医薬品の使用割合が異なる各地域における背景や特徴などを見てみましょう。

全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和2年3月 医薬品使用状況(概要)より

沖縄はジェネリック医薬品の使用割合において長年、不動の全国1位を誇ります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の2020年3月診療分の数字を見ると、全国の平均値が78.7%であるのに対し、沖縄のジェネリック医薬品の使用割合は88.5%と非常に高く、2位の岩手の84.4%、3位の鹿児島の84.2%とも大きく水をあけています。沖縄の使用割合が高い理由としては、県民の平均所得が国内最下位(2014年全国消費実態調査)であることや、米国統治下にあった時代は、一旦患者さんが医療費全額を払い、後から自己負担分を差し引いた額が返金されていたため、高齢者を中心に低価格の医薬品を求める県民が多いとする説があります。しかし、早い段階から県内の自治体、医療機関、調剤薬局が協力体制を敷き、ジェネリック医薬品の普及に取り組んできたのも事実です。例えば、医師から「変更不可」との指示がない処方箋については、薬剤師が患者さんにジェネリック医薬品を使うメリットを積極的に説明するなどの活動が継続的に行われてきました。また、県立病院が院内向けに採用したジェネリック医薬品の品目情報のリストを地区薬剤師会に提供しており、会員である薬局が同じ銘柄を揃えることができるので、在庫管理の負担軽減や患者さんの不安軽減につながります。それでも、複数の医療機関からの処方箋応需によって、品目数の多いジェネリック医薬品の不動在庫が増えがちなことから、沖縄県薬剤師会では会員薬局間で不動在庫となった医薬品の買い手を探すサービスを導入するなどの取り組みも行ってきました。

全国2位の岩手は、医療機関、調剤薬局、患者さん、ともにジェネリック医薬品を使用する意識が高いことが協会けんぽによるデータ分析や患者調査により明らかになっています。また、他県と比べて県立病院の数が多く、もともと積極的にジェネリック医薬品の採用に取り組んできたという背景があり、県立病院が中心となって他の医療機関でのジェネリック医薬品の使用を牽引したことが理由の1つとされています。さらに、他県では子ども医療費助成や窓口負担割合の影響により、ジェネリック医薬品に対する若年層や高齢者層の使用割合は低い傾向がみられます。しかし、岩手はどの年代においても全国平均と比較して高く、特に0~4歳の使用割合が突出して高いのが特徴です。

一方、ジェネリック医薬品の使用割合が全国ワースト2位である奈良の特徴として、院内処方割合が全国平均は21.8%ですが、奈良では34.7%(2019年協会けんぽ)と全国で3番目に高いことが挙げられます。その背景には医療機関の院内処方率の高さが原因としてあり、とくに規模の大きな病院における院内処方の高さに起因するようです。医療機関においてもジェネリック医薬品の使用割合によって診療報酬の加算点数が変わりますが、外来診療の院内処方における加算は入院時と比べるとかなり低いため、薬価差益による収支を考えて先発品処方が多くなる傾向にあります。

全国ワースト1位は徳島。大手調剤薬局が他県と比べて少なく、県内展開の小規模薬局が多いことが理由に挙げられます。小規模薬局では不動在庫となりやすいジェネリック医薬品を種類多く揃えることが経営的に難しい傾向にあるためとされています。全国健康保険協会徳島支部によると、県内の大学病院前薬局はジェネリック医薬品の使用割合が3~4割程度と低迷していることが理由の1つとなっています。また院内処方割合が33.6%と全国で6番目に高いことも要因となっています。

このように、各地域で異なる背景や特性をもつため、必要となる施策は地域ごとに違ってきます。一般住民や医療機関の関係者を対象とした実態調査を実施したり、ジェネリック医薬品使用促進のための計画策定や目標の設定、ジェネリック医薬品の採用を判断するためのツール類(評価基準、採用マニュアル、品目情報リストなど)の作成、啓発のためのリーフレット、ポスターなどの作成、配布、さらにセミナーやシンポジウム、研修会の開催など、ジェネリック医薬品の利用促進に向けてのさまざまな活動が各地で行われています。各地域においてその地域の関係者が自分事として具体的な施策を打ちつつ、議論を繰り返していくという取組みが期待されています。

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ジェネリック医薬品の選び方

ジェネリック医薬品の使用割合を高める取り組みを行っていくうえで、ジェネリック医薬品メーカーが多すぎてどのメーカーの製品を選べばよいか分からない、という新たな問題に直面するケースも多いのではないでしょうか。ジェネリック医薬品の中には、先発医薬品に味の改良や剤型の追加、識別性の向上などが施されることで、先発品より使いやすくなっているアドバンスト・ジェネリックなどが発売されていますが、これほど種類が多いと、選定作業にも時間と手間がかかってしまいます。

そういった負担を軽減するための選定方法として、応需する処方箋数が多い医療機関の採用薬に合わせる方法と、薬価をベースに薬剤師が決める方法の大きく2つが挙げられます。

前者は、公開されている情報をもとに比較的簡単に選定することができます。協会けんぽのサイトでは処方実績をもとに「ジェネリック医薬品実績リスト」が、各都道府県・都道府県協議会のサイトでは一部の病院に限りますが各病院で採用されている後発医薬品を調査し取りまとめた「ジェネリック採用薬リスト」が展開されているため、選択する際の一助になります。多くの医療機関で採用されている製品については信頼度が増しますし、薬局にとってはある程度、仕入れを絞りこめるので無駄な在庫を抱えなくてよいというメリットがあります。また退院した患者さんにとっても、入院中に使用していたジェネリック医薬品を使い続けられるため安心感が得られます。

後者の方法で参考になるのが、薬局の経営支援サービスです。このサービスを提供するメディカルシステムネットワークでは、安定した流通が見込め、良質かつ安全・安価に利用できるジェネリック医薬品メーカーを選定しています。また、推奨医薬品に関する情報を加盟する薬局に提供することにより、経営者が膨大な数のジェネリック医薬品の品質を見極め、選定する作業の軽減につなげています。加盟店のみが利用できるポータルサイトには、価格検索機能が搭載されているため、どの製品を使用するか利益ベースでの比較もできる、とユーザーから好評を得ています。
また、グループ会社である株式会社フェルゼンファーマではジェネリック医薬品の製造販売を行っています。原薬から製剤まで一貫製造体制をもつ医薬品メーカーと協力することで、高品質な医薬品の供給が可能であるとともに、直営の調剤薬局店舗を持つ強みを活かし、実際に働く薬剤師の視点から包装の工夫やパッケージデザインを採用し、医療過誤防止にも努めています。同社では今後、需要が拡大するジェネリック医薬品を中心にラインナップの拡充を図り、ジェネリック医薬品の普及促進及び、医薬品の流通改善への動きを継続していく方針です。患者さんの医療費の負担を抑え、国の医療制度を維持していくために欠かせないジェネリック医薬品を効率的に届け、人々の健やかな暮らしに貢献しています。

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