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その人件費は適正?
薬局の無駄なコストを見直そう

近年の診療報酬改定における改定率の推移を見てみると緩やかにマイナスに転じており、2020年度の調剤報酬に関する変更点においても「薬剤服用歴管理指導料」の見直しなど厳しい改定の流れが続いていると言えます。医療業界全体がそのような流れの中で、抑えられるコストはなるべく抑えたいと考える薬局経営者は多いのではないでしょうか?そこで今回は薬局経営における人件費の削減方法を具体的にお伝えしていきます。

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薬局経営において削減できるコストとは

医薬品の価格は一定の基準で定められており、医薬品卸売会社との交渉できる金額にも限度があります。そのため調剤薬局が利益をあげるためには、固定費を抑えることが1つのポイントとして挙げられます。調剤薬局の固定費と言えば、雇用している薬剤師をはじめとする社員などに発生する人件費やお店の物件にかかる賃貸料、PCなどのリース料に水道光熱費、通信費などがあります。税理士相談料などを支払うケースもあるでしょう。これらの固定費の中でもっとも影響が大きいのが人件費です。ただし、人件費の削減は従業員のモチベーション低下や離職を促してしまうというリスクもあるため、不用意な施策は禁物。中長期的な経営視野で、客観的に理論的に、働いてくれているスタッフの気持ちにも寄り添いながら考える必要があると言えます。

あなたは、働いてくれているスタッフの人件費をどのように決めていますか? 

知り合いの薬局経営者に話を聞いたりして、なんとなく相場に合わせて見繕っていたりしていませんか? もちろん、相場を知ることは大切ですし大きくはずすことはないかもしれません。しかし、それが正しい選択と自信を持って言えるでしょうか。やはり一番は、経営状況に基づいて算出した値付けがふさわしいと言えるでしょう。しっかりと数字としての根拠を割り出すことで迷いもなくなるのではないでしょうか。

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適正な人件費を算出する2つの指標

では、実際に適正な人件費をどのように算出するべきなのでしょうか。ひとつの指標となるのが、労働分配率です。一般的な企業は、労働分配率を以下の計算式で算出します。

労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100

この計算式をみて疑問に思うのは、付加価値の算出でしょう。業種や企業の規模などによって付加価値の定義は変わりますが、薬局のような小売業は売上総利益を当てはめるのが妥当とされています。売上総利益とは、薬局の場合、技術料と薬価差益、その他OTCなどで得た利益を指します。

例えば、以下のような薬局の場合で、実際に計算してみましょう。

主な受付処方科目:内科・小児科
1日の患者数:100〜120人程度
薬剤師人数:5名 正社員4名+パート1名
調剤事務:2名(正社員)


年間売上(年間調剤報酬) 1.6 億円
年間売上原価 1.08億円
 -期首在庫金額 1,000万円
 -期末在庫金額 1,200万円
 -年間仕入れ薬剤金額 1.1億円

売上が1.6億円、売上原価が1.08億円のケースでは、売上総利益は5,200万円となります。

次に人件費を計算します。

正社員の薬剤師ひとりあたりの人件費が600万円、パート薬剤師の人件費が350万円、調剤事務の総人件費が350万円だとすると、人件費は3,100万円となります。

つまり、労働分配率は

3,100万円÷5,200万円×100=59.6%

となります。

全業種の労働分配率の平均は約50%ほどと言われており、小売業の中でも人件費が高い調剤薬局(1,587社)の平均は63.7%(※)です。今回の薬局の場合は、平均よりもコストを削減できている事例と言えるでしょう。

もうひとつの指標が、損益分岐点です。売上高から支出をひいた額がゼロになる、つまり赤字にならないポイントのことを指します。調剤薬局の場合、処方箋枚数で算出するのがおすすめです。

つまり、損益分岐点は

 

売上−支出(固定費+変動費)=0

となります。

支出を引いたときに営業利益がプラスマイナスゼロになる売上高が損益分岐点となります。また、支出とは「固定費+変動費」を指し、固定費は人件費、水道光熱費、減価償却費など販売量に関係なく発生する費用のこと。変動費は、薬剤料や販売量に比例して発生する費用を指します。

薬局の場合、売上と支出は以下の計算で割り出すことができます。

売上=処方箋単価×処方箋枚数+その他売上
支出=固定費+変動費

労働分配率とともに、薬局経営における客観的な指標となるので活用してみてください。なお、薬局経営における損益分岐点が上昇する要因として考えらえるのは次の4つが挙げられます。

・長期処方の増加もしくは他薬局の進出などにより、処方箋枚数減少と調剤技術料低下による収益が減少
・薬価差の縮少や在庫医薬品の増加により、医薬品在庫コストが上昇
・薬剤師確保の難しさと人材育成などにより、人件費が上昇
・IT設備費によって、減価償却費が増加

これらのリスクを想定しつつ、損益分岐点の計算は定期的に行いましょう。

※出典:TKC経営指標(BAST)要約版

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人件費の適正な算出方法とは

労働分配率や損益分岐点を算出できたら、それで終わりではありません。それらの数値を基準とし、人件費の適正な算出を実行に移すことが必要です。
具体案として、まずは算出した数値を元に配置人員の見直しを検討してみましょう。労働力確保が難しい時間帯のみ時給をアップするなどの工夫で、効果的に人件費を削減する薬局もあります。また、調剤助手などのパートをうまく活用するのもひとつの方法です。扶養範囲内パート(年収130万円以下)を数名雇用することで常勤者を削減し、パートを雇用することで結果的に社会保険料相当分はかからないことになると言われています。コストが高くなりがちな派遣社員を高額パートに変更するのもよいでしょう。さらに、全自動分包器など業務に使用する機材をリースにしてコストを削減する方法もあります。ただし、リース期間の途中で返却すると費用がかかるなど、場合によってはコストがかさむリスクもあるので計画性が必要です。

診療報酬改定の影響などを受け、今後ますます手腕が問われる薬局経営において、適正な人件費の算出や、不必要なコストの削減は、経営を改善するひとつのキーとなっていきます。

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