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医療に足並み、オンライン服薬指導を評価
これだけは押さえたい21年度介護報酬改定

2021年度の介護報酬改定に伴い、新単位による運用が原則4月1日に始まります。薬局関連では居宅療養管理指導への評価の見直しが柱で、診療報酬と足並みをそろえ、薬剤師がオンラインで行う服薬指導を新たに評価することになりました。また、基本報酬の評価は、「単一建物居住者」の人数が「1人」と「2~9人」で手厚くしますが、「10人以上」では引き下げます。これは、同じ建物の複数の居住者を訪問するケースでは、移動や滞在の時間が少なくて済むなどの実態を踏まえた対応です。薬局の薬剤師が押さえておくべきポイントを整理しました。 ※この記事は「CBnews」とのタイアップ企画です。

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オンライン服薬指導への評価は45単位

スマートフォンなどを使い、薬剤師がオンラインで行う服薬指導への評価の新設は、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護給付費分科会が2020年11月16日に開いた会合で厚生労働省が提案し、その後、了承されました。新設するのは薬剤師による居宅療養管理指導への評価の一つという位置付けで、月1回まで45単位の算定を認めます。

薬剤師による服薬指導は原則対面で行うこととされ、オンラインでの実施は従来、国家戦略特区以外では認められていませんでした。しかし、医薬品医療機器等法(薬機法)の2019年の改正に伴い、翌年9月に条件付きで解禁された経緯があります。それによって薬剤師の対人業務を促すのが狙いでした。

それに先行して、国は2020年4月の診療報酬改定で在宅患者オンライン服薬指導料(月1回まで57点)を新設しました。対面で指導したことがあり医師のオンライン診療を受けた患者さんが算定対象で、対面とオンラインを組み合わせた計画を作り、それに基づき薬局内でオンライン服薬指導を行うことなどが算定要件です。

国は今回、オンライン服薬指導への評価を介護保険でも新たに作り、医療保険と整合性を取ります。診療報酬に比べ、金額ベースで1回当たり120円低く介護報酬を設定したのは、在宅患者訪問薬剤管理指導料(最大で650点)と居宅療養管理指導費(見直し後は同517単位)の差を反映させたためです。

介護保険のオンライン服薬指導は、医師の「訪問診療」の際に処方箋を交付され、居宅療養管理指導費を月1回算定している利用者が対象です。新単位での運用が始まるのに先立ち、厚生労働省が出した留意事項通知では、▽薬機法の施行規則・関連通知に沿って薬局内で実施▽利用者の同意を得て対面とオンラインを組み合わせた服薬指導計画を作成し、それに基づき実施▽オンライン服薬指導の結果に関する必要な情報を医師に文書で提供――などを算定要件に挙げました。いずれも診療報酬に沿った内容です。

また、介護保険のオンライン服薬指導は同じ薬剤師が毎回行うのが原則ですが、医療保険と同様、やむを得ない事情で対応できないときは別の薬剤師による実施も認めました。これは、▽その薬剤師の氏名を服薬指導計画に記載している(対面服薬指導をあらかじめ実施したことがある2人まで)▽オンライン服薬指導をその薬剤師が行うことにあらかじめ利用者が同意している――の2つが条件です。

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政府はオンライン服薬指導を恒久化へ

オンライン服薬指導の解禁は改正薬機法に基づくものですが、2020年に新型コロナウイルスの感染が各地で広がると、新たな動きが生まれました。薬局や医療機関で感染が拡大するのを防ごうと、厚生労働省が4月10日、電話・オンラインによる診療や服薬指導を感染が収束するまで、特例で認めたのです。いわゆる「0410対応」と呼ばれる措置で、この枠組みで調剤や服薬指導を行うと、薬局は調剤技術料や薬剤料、薬剤服用歴管理指導料などを算定できます。

それによって、オンラインだけでなく電話でも初回から行うという、より踏み込んだ内容が9月の条件付き解禁に先立ち認められました。しかも、「0410対応」での服薬指導は医師のオンライン診療を受けていない患者さんにも行えます。

そうした中、政府の規制改革推進会議は2020年10月7日、この特例の恒久化を打ち出しました。オンライン診療や服薬指導の活用などデジタル化の推進は、この年の9月に就任した菅義偉首相の肝いりの政策の一つです。規制改革推進会議の12月21日の会合では、初診や診療報酬の取り扱い、対象疾患などを含む「恒久化」の骨格を早急に検討し、2021年6月までにまとめるよう指示しました。

さらに、それに先立ち政府が改訂した「新経済・財政再生計画」の改革工程表では、医療・福祉サービス改革のメニューの一つに「オンラインでの服薬指導を含めた医療の充実」を掲げました。それによると、政府はオンラインで行うための適切なルールの議論を踏まえ、診療報酬の「必要な見直し」を2021年度に検討する方針です。

2022年度の診療報酬改定でもし見直しが行われたら、医療保険との整合性の担保が再び課題になりそうです。ただ、介護報酬を所管する厚生労働省老健局老人保健課はCBニュース編集部の電話取材に、「今のところは何も決まっていない」などと話していて、具体的な対応が明らかになるのはまだ先のことのようです。

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居宅療養管理指導費、多人数で引き下げ

2021年度の介護報酬改定を巡る議論では、居宅療養管理指導への評価自体の見直しも焦点になり、「単一建物居住者」の人数に応じて設定している基本報酬を「1人」と「2~9人」で引き上げ、「10人以上」では下げることになりました(表)。

表 居宅療養管理指導費の見直し(薬剤師が行う場合)

「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」を参考に作成

2021年度の政府予算案を巡る閣僚折衝では、介護報酬の改定率を全体でプラス0.70%とすることで決着しました。国は、新たな財源を使って全てのサービスの基本報酬を引き上げます。さらに、新型コロナ対策の「かかり増し」の経費を補助するため、プラス0.70%のうち0.05%相当分の財源を使い、2021年4月から9月まで基本報酬を特例で0.1%上乗せすることも決まりました。

それなのに「10人以上」への評価を引き下げるのは、複数の利用者が住む建物への居宅療養管理指導では、1人当たりにかける滞在時間が短く、移動時間も短くて済む傾向が明らかになったためです。

居宅療養管理指導では従来、同じ建物に住む複数の利用者(同一建物居住者)を1日に訪問するケースで評価が低く設定されていましたが、2018年度の介護報酬改定で国は、同じ建物の利用者をその月に何人訪問したか(単一建物居住者)を評価軸に切り替え、「10人以上」への評価を低く設定した経緯があります。

厚生労働省の研究班の調べでは、薬局の薬剤師による居宅療養管理指導ではほかの職種に比べて10人以上への訪問が多いことが分かっていて、対応を迫られる薬局が出てくるかもしれません。

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ケアマネへの情報提供・助言をルール化

「社会的処方」と呼ばれる概念を居宅療養管理指導に新たに取り入れるのも今回のポイントです。社会的処方とは、孤立など患者さんが抱える「社会生活面の課題」を解消するためにボランティアや「通いの場」への参加を促すなど、「かかりつけ医」や専門家が地域社会の多面的な支援につなげる取り組みです。政府が2020年7月に閣議決定した「骨太方針2020」に社会的処方のモデル事業の実施が盛り込まれました。

それを受けて厚生労働省は、利用者の「社会生活面の課題」にも必要に応じて目を向け、地域社会での支援につながる情報を把握し、医師や歯科医師に提供することを、居宅療養管理指導を行う薬剤師の努力義務として規定しました。一方、医師や歯科医師にはケアマネジャーらへの情報提供に努めるよう求めるという2段階での対応です。

さらに厚生労働省は、適切な居宅サービスの提供を促すため指定居宅サービスの運営基準を見直し、ケアマネジャーや事業者へ薬剤師が必要に応じて情報提供・助言することを規定しました。情報提供や助言は、原則としてサービス担当者会議に参加して行わなければならないとしています。

3年前の2018年度には、主治医、歯科医師、薬剤師へ必要に応じて情報提供することがケアマネジャーに義務付けられました。厚生労働省の研究班の調べでは、服薬の情報を関係機関と共有したことで、服薬状況の改善など一定の成果を実感するケアマネジャーが多いことが分かっています(図)。

今回の見直しは多職種の連携を一層促す内容で、薬剤師の手腕が問われそうです。

図 服薬状況について関係機関と情報共有を行ったことによる利用者にとっての効果(複数回答、n=957)(介護支援専門員調査)

社会保障審議会・介護給付費分科会(2020年10月22日)の資料を基に作成

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